胃カメラ(胃内視鏡検査)でわかる病気

胃内視鏡検査では、胃だけでなく、十二指腸、食道や咽頭の病気を発見することができます。

早期胃がん

早期胃がん胃粘膜の表面近くにがんがとどまっている状態で、この段階で発見できれば、内視鏡を使った手術で完治する可能性があります。ただし、早期の段階では自覚症状が全くないことがほとんどですから、早期胃がん発見には症状がない段階で内視鏡検査を受ける必要があります。
胃内視鏡検査では、胃の老化である萎縮の状態を観察し、将来の胃がんリスクを確認できますし、胃潰瘍や胃がんにつながるとされてるピロリ菌感染の有無を確かめることもできます。ピロリ菌に感染していない場合には胃がんになる可能性が低く、感染している・感染した経験がある場合には胃がんになるリスクが高いと言えます。ピロリ菌感染があった場合には、除菌治療を受けて菌を除去することでがんのリスクを下げ、次世代へのピロリ菌感染を防ぐことが重要です。

進行胃がん

胃壁の筋層より深くにがんが進行した状態です。粘膜より奥深い筋層に浸潤しているため、リンパ節や多臓器への転移が起こる可能性が増大し、内視鏡での治療は不可能です。そのため、入院が必要な外科手術や化学療法などを受けることになります。自覚症状のない早期胃がんを放置していると進行胃がんになりますが胃壁には神経がないため痛みなどが起こりにくく、かなり進んでから発見されることが多くなっています。そのため、日本人のがんによる死亡原因では長く胃がんが1位の座を占めていました。近年になってピロリ菌感染者数が減少し、ピロリ菌検査と除菌治療が普及するようになって胃がんによる死亡者数は減少してきています。それでも、まだ年間約5万人の方が胃がんによって亡くなっている現状があります。胃がんによる死亡者を減らすこと、そして日常生活やお仕事に支障のない早期の段階で発見することは、消化器専門医にとって社会に貢献する重要な役割だと考えています。そのため、当院では精密な内視鏡検査を楽に受けていただけるよう、最新機器を導入し、洗練された手法を用いて、経験の知識の豊富な専門医が検査しています。進行胃がんの段階まで進ませずに早期発見と治療のために、内視鏡検査をご検討ください。

スキルス胃がん

通常の胃がんではなく、細胞がばらばらになって胃の粘膜下に広がっていくタイプの胃がんです。若くして胃がんにより亡くなったニュースが流れることがありますが、そうしたケースはこのスキルス胃がんによるものがほとんどです。
繊維化が胃の粘膜下を這うように進み、胃壁が硬くなっていきますが、胃の表面に病変が表れにくいため内視鏡検査でも早期発見が難しく、胃を膨らましてすみずみまで観察する際に胃が膨らまない状態をきっかけに発見されるケースがあります。
30~50歳の女性に発症が多く、若い世代に発症が多いことや、通常のがんよりも進行が早く、腹膜播種という腹膜への転移も起こしやすい特徴を持っています。そのため、発見された時点で進行しているケースが多く、死亡率も高くなっています。
無症状であることが多いなど自覚症状が乏しいこともありますが、若いうちに内視鏡検査を受けておくことやピロリ菌除菌でリスクを軽減できる可能性が高まります。

胃悪性リンパ腫

悪性のリンパ腫のうち、胃に発生するのは約8%の頻度で、表層型、隆起型、潰瘍型、決壊型、巨大皺壁型に分類されます。胃での悪性リンパ腫発生にはピロリ菌感染があるケースが比較的多いとされています。進行速度の比較的遅い低悪性度の悪性リンパ腫が発見され、ピロリ菌陽性で胃以外の臓器に転移していない初期の段階であれば、ピロリ菌除菌の成功により腫瘍が退縮し、90%以上の長期生存率、3%程度の再発率と報告されています。そのため、腫瘍の病理組織検査と同時にピロリ菌検査を行うことが治療方針を決める上でも重要になってきます。なお、検査結果により外科手術や化学療法、放射線療法などが必要になる場合もあります。

胃腺腫

良性の腫瘍であり、胃の粘膜から発生しています。胃腺腫がすぐがん化することはほとんどありませんが、10年以上経過すると数10%の確率でがん化する可能性があるとされています。
内視鏡で疑わしい病変があったら組織を採取して病理検査を行い、がんと識別して確定診断します。胃腺腫であることがわかったら、定期的に内視鏡検査で経過を観察する必要があります。形態や大きさなどによりがん化する可能性がある場合には、内視鏡による切除を行う可能性もあります。

胃潰瘍

胃粘膜が傷付いて粘膜や粘膜下にある組織の一部がなくなっている状態です。胃潰瘍は痛みや出血などの症状を起こし、将来の胃がんリスクを上昇させます。
胃潰瘍ができる原因のほとんどは、ピロリ菌感染と痛み止めの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)服用だとされています。
ピロリ菌感染がある場合には除菌治療を受けて除菌に成功することで潰瘍再発を予防し、将来の胃がんリスクを軽減できます。
痛み止めの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)は、胃の血流を阻害して胃粘膜を傷付きやすい状態にするため、胃炎や胃潰瘍のリスクが上がります。胃痛がある時にこうした薬を服用すると胃の症状悪化につながりかねないため注意が必要です。ただし、慢性的な頭痛や腰痛、関節痛などがあってこうした薬の常用が必要なケースもあります。そうした場合には、消化器の専門医を受診して胃の状態を確認した上で胃酸を抑える薬などを処方してもらうことをおすすめします。

胃静脈瘤

肝炎などによって肝硬変を起こすと肝臓へ血液が流れにくくなり、その血液が食道や胃に流れ込みます。それをきっかけに胃の静脈に異常な膨らみが形成されたものが胃静脈瘤です。肝硬変が悪化すると胃の静脈瘤が大きくなっていき、破裂してしまう可能性もあるため、内視鏡や血管内治療におり破裂を予防することが必要になります。胃と食道にできる静脈瘤が破裂すると生命への険が及ぶ可能性もあるため、早期発見と適切な治療が重要です。

胃粘膜下腫瘍

胃粘膜より深い層から発生し、粘膜の下から突き出してくるように成長する腫瘍です。内視鏡で観察した際には、胃の正常な粘膜か盛り上がっているように見えます。
小さな胃粘膜下腫瘍は定期的な内視鏡検査で経過を観察していきますが、まれにサイズが大きくなる場合があります。肝臓やリンパ節に転移する悪性の消化管間質腫瘍の場合には、外科手術や分子標的治療などが必要になります。

表層性胃炎

胃粘膜の表面に線状の赤い炎症が起こっているものです。それほど心配のない病気ですが、胃の痛みなどの症状が現れることがあります。胃酸過多の状態で発生しやすく、ストレスや不安、暴飲暴食、胃酸泌量が元々多いピロリ菌陰性の方に発生しやすいとされており、生活習慣や食生活改善で症状が解消できるケースが多くなっています。

萎縮性胃炎

ピロリ菌感染によって胃の慢性的な炎症が長期間続いて、胃粘膜が薄くなっている状態です。ピロリ菌に感染すると胃粘膜が老化して萎縮していき、炎症が持続することで胃がんの発生リスクが高まることがわかってきています。
胃粘膜の萎縮は、進行すると胃粘膜が腸の粘膜に置き換わる「腸上皮化生」が起こります。これにより粘膜が荒れた状態になってピロリ菌も生息できない状態になるケースがあり、ピロリ菌検査で陰性になる場合があります。ただし、この場合、陰性であっても胃がんリスクは最も高い状態です。こうした状態を見極めるためには内視鏡検査で直接、粘膜を確認することが不可欠です。

鳥肌胃炎

胃の出口付近にある前庭部に発生する慢性的な炎症で、羽をむしった鳥の肌のようにリンパ濾胞とよばれる細かいポツポツが増生します。胃の痛みなどの症状が比較的出やすい炎症です。胃がんの中でもスキルス胃がんとの関連が指摘されており、鳥肌胃炎は胃がんのリスクが高い疾患です。そのため、鳥肌胃炎があってピロリ菌陽性の場合には除菌治療を受けた上で定期的な内視鏡検査による経過観察が必要になります

胃憩室

胃の内壁の一部が外側に向かって袋状に飛び出ている状態で、内視鏡ではくぼんで見えます。発生しやすいのは、筋肉の層が薄くて弱く、胃の圧力がかかりやすい胃の入り口と胃の出口です。

胃アニサキス症

サバ・サケ・アジ・イカ・タラといった魚介類に寄生する寄生虫です。生で食べることによって感染するため、魚を刺身などで食べる機会が多い日本では年間3000件の発症が報告されています。ただし専門家が適切な処置を行った魚であれば感染する危険性はほとんどありません。症状には、上腹部の痛みが多く、しばしば激しい痛みとなります。内視鏡を使って除去することで、すぐにこうした症状はおさまります。

胃底腺ポリープ

胃にできる良性のポリープで、基本的には生涯にわたって良性のままですし、自然に小さくなったり消失することもあります。ピロリ菌のいない健康な胃にできることが多く、女性ホルモンの関与が指摘されていますが、原因はまだよくわかっていません。確定診断のためには、ピロリ菌検査と採取した組織の病理検査が必要です。

食道がん

口から入った食物を胃に運ぶ消化管である食道にできるがんです。胃や大腸にある漿膜(しょうまく)という一番外側の膜が食道にはないため、早期からリンパ節や多臓器に転移を起こしやすいとされています。初期症状はほとんどなく、進行がんとなった段階まで進んで食道内の管腔を塞いではじめて喉や胸が詰まった感じを覚えるケースがよくあります。進行がんになってしまうと、かなり難度の高い大手術が必要になり、身体への負担も大きくなります。そのため、内視鏡検査による早期発見が重要な疾患です。当院では、胃内視鏡検査の際に喉や食道を必ず確認しています。

逆流性食道炎・食道裂孔ヘルニア

逆流性食道炎は、強い酸性の胃酸や消化中の食べ物が食道に逆流することで起こります。食道裂孔ヘルニアは、胸とお腹を隔てている場所の筋肉が緩んで、本来はお腹にあるべき胃の一部が胸の方に飛び出している状態で、胃酸の逆流が起こりやすい状態です。
逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアでは、食道には胃酸から粘膜を守る粘液の分泌がないため逆流してきた胃酸などによって炎症が起こり、びらんや潰瘍を生じさせます。食道への胃酸逆流が長期間続くと食道がんのリスクが上昇するという報告もされていますので、症状に気付いたら早めに受診しましょう。
胸やけが代表的な症状だとされていますが、胃もたれ、喉や胸の痛み、しつこい咳、喘息といった症状が起こる場合があり、その時々で別の症状が現れたり、同時にいくつかの症状が現れることもよくあります。
生命にかかわるようなことはほとんどありませんが、食事を楽しめない、眠れないなどにつながるケースが多いため、早めに治療をおすすめします。現在は効果的な薬がいくつも出てきています。ただし、生活習慣などの改善は不可欠です。

食道・咽頭乳頭腫

食道やのどにある咽頭にできる良性の腫瘍です。内視鏡検査では、白色の小隆起として観察され、原因には胃酸の逆流による慢性刺激が指摘されています。

食道静脈瘤

肝炎などによって肝硬変が起こると肝臓へ血液が流れにくくなり、その血液が食道や胃の静脈に流れ込んできます。それによって食道や胃の静脈に異常な膨らみである静脈瘤ができた状態です。肝硬変の悪化によってこの静脈瘤は次第に大きくなっていき、破裂する可能性が出てきます。破裂すると激しい吐血や下血が起こり、生命の危険が起こる場合もあります。
胃や食道の静脈瘤には自覚症状が乏しく、かなり進行してはじめて胸のつかえなどの症状が出てくる場合もありますが、基本的に無症状であるため内視鏡検査が有効です。内視鏡検査で静脈瘤が見付かった場合、破裂の可能性があれば速やかに内視鏡による治療が必要ですし、そうでない場合には慎重な経過観察が重要になってきます。

食道粘膜下腫瘍

食道表面に生じる食道がんと違い、粘膜よりも深い層から発生する腫瘍です。ほとんどの場合は、平滑筋腫や血管腫といった良性腫瘍であり、内視鏡検査による経過観察が必要です。腫瘍が大きい、短期間で腫瘍が大きくなった、悪性リンパ腫やGISTなどの悪性腫瘍が疑われるといったケースでは組織を採取して病理検査を行うなどの精密検査を行って、必要な場合には外科手術を検討します。

食道異物

魚の骨を飲み込んでしまった、うっかりシートごと内服薬を飲み込んでしまった、大きなものを丸呑みしてしまったなど、食道に異物が詰まっている状態です。角があったり鋭いものである場合、食道を傷付け、穴を開けてしまう可能性がありますから、できるだけ速やかな除去が必要です。

十二指腸がん

胃がんや大腸がんに比べてまれな疾患です。ただし、十二指腸は胃よりも粘膜がとても薄いため、内視鏡による治療が難しいケースもあります。外科手術が選択される場合もありますが、大手術になる可能性が高いため、定期的な内視鏡検査で早期の病変を発見することが重要になります。

十二指腸潰瘍

粘膜が傷付いて、粘膜やその下の組織が一部なくなってしまっている状態です。胃潰瘍と同じく、ピロリ菌感染によって起こるケースが多く、ピロリ菌に感染している場合には除菌治療が再発防止にとても効果的です。比較的若い世代に多く発症しまので、当院では慢性的な腹痛がある場合、若い方にも内視鏡検査を受けるようおすすめしています。